ナイモノネダーリン/冷酷な旦那様と愛されたい私

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「成人式の日に一度着ただけのこの振袖は、昨年他界した祖母が成人祝いに贈ってくれた大切な晴れ着でした。今日、正式に”怜弥さんの妻です”と皆様に名乗る前に…どうしてもこの姿を怜弥さんに披露しておきたくて、、それでっ」 っと、ここで言葉が詰まってしまった。 目が泳いでしまいそうになるのを避け、ギュッと瞳を瞑った瞬間─… 「……全く。サプライズの度が過ぎている」 その言葉に閉じていた瞳を開き、隣にいる怜弥さんを見つめると、、彼はとても優しい眼差しで私のことを見ていた。 呆れたような口調で怜弥さんが語り出したことにより…民衆の視線が私から彼に移動する。 「っと、ここで妻を叱るべきだということは理解しておりますが…申し訳ありません。奥ゆかしい妻のこの可愛らしい行動を、私は咎めることが出来ません」 何を思ったのか、突然私の髪に触れ…優しく撫で始めた怜弥さん。その直後皆が注目する中、躊躇うことなく彼は私の唇に自身の唇を重ねた─…
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