ナイモノネダーリン/冷酷な旦那様と愛されたい私

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怜弥さんの祖父、忠弘さんが立ち上がって拍手を送ってくれたことにより…会場が祝福ムードに様変わりし、至る所からお祝いの声が飛んでくる。 ──…しかし、、 「ひとつ、お話したいことがあるのですが」 このまま、あの兄嫁を逃がすつもりは…ない。 丸く収まりかけた場が再び静寂に包まれる。隣の怜弥さんも”なにを考えてる?”という視線を送っているのが分かった。 それでもやっぱり…あの仕打ちを許すことは出来ない。 「本当は、怜弥さんに選んでいただいたドレスを着る予定でした。それが叶わなかったのは…ドレスサロンを経営されているお義姉様、美蘭様の手によってドレスが汚されてしまったからです」 静まり返っていた会場が再びざわつき始める。思わず手が震えてしまったが…大丈夫、というように怜弥さんが私の手を握ってくれるから…なんでも出来る気がした。 「故意ではなく…事故だったと、私は願っていますが真相は美蘭様にしか分かりません。それよりも、ドレスが着れなくなったおかげで怜弥さんに振袖姿を披露する事が出来ました。なので…美蘭様には感謝しています」 ありがとうございました、っと彼女に向かって頭を下げれば─…私に向けられていた嫌な視線は全て、美蘭さんに移ることになる。 目には目を…というやつです。受けた報いはきっちり返さないと気が済まないので、私の代わりに嫌な視線を浴び続けてください…お義姉様。
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