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自宅へと向かう車内で一人、
この結婚に至るまでの経緯を思い返してみた。
そのきっかけが訪れたのは、
ほんの、数週間前の話しだ─…
。・:*:・゚★,。*.
「っえ…お見合い?!いや、しないって…」
「これで最後にする、これでダメならパパも諦めるから!!一生のお願い!!」
「いや…いやいやいや、それ前も同じこと言ってたから。パパの一生って何回あるの?」
手を合わせて頼み込むようにして、私に見合いを進める父親。もう何度このやり取りを繰り返しているか分からない。
「私、結婚願望ないし…今の生活で満足してる」
「明日パパが死んだらどうする?その時、沙羅をそばで支えてくれる殿方がいないと、パパはきっと成仏出来ない。」
「……もう、そんな言い方しないで」
「じゃ…見合いの話、進めていいってこと?」
「いや、そうは言ってない!!」
今年で27歳になる私。いつの間にか周りの友人たちは既婚者ばかりで…父も世間体を気にし始めたのか、やたらと結婚を勧めてくるようになった。
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