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ある日のこと。
近辺の犬小屋を通りすがると斑らの縞模様の毛並みの尻尾が流れ出ているではないか。
わさっとした毛をわんさか侍らせているその尾っぽはやけに整った印象を見る者に与える。
尻尾はくねりながらうごき
ふぁさと地面を叩いた。
何回かベシッベシッと全体の尾っぽが暗がりの奥にあるであろうその根元から上下して地面を叩きつける。
後に大きな蜂が潰れた死骸を遺していた。
ぐちゃぐちゃに縞模様の腹部を裂かれそこを支えた6本の節くれた脚のぱらぱらと打ち砕かれ落ちる様をどこぞの誰か何か見た者があったかもしれない。
愚かな者よ。
愚かしい物どもよ。
風はそう囁いただろうか。
それを観ないでいた遠くの家屋内で
昼食を摂っていた小屋の持ち主はワンコと書かれたその犬小屋のラベルをニャァに書き換えようかと思い巡らせていた。
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