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俺は店を出て、大通りまで歩いた。
そこでタクシーを捕まえ、真斗の家まで急いだ。
ピンポーン
時刻は深夜1:00を回ったところ。
「また来たのかよ。」
気怠げに真斗が玄関を開けた。
「お邪魔しまーす。」
「くさっ、また別の男か?」
「真斗の鼻は優秀ですね~」
「おい、くっつくな。酔っぱらい。男と居たなら、泊めてもらえばいいだろ?わざわざ俺ん家来なくても。」
「やっぱさ、他の男と居ても落ち着かないんだよ。真斗と居たい。」
「はいはい。」
口では俺の事を迷惑そうに扱うが、リビングのテーブルには飲みかけの缶ビールが置いてあった。
俺が深夜に来ることを予想していたのだろう。
「とりあえず、シャワー浴びろ。」
真斗は、俺にバスタオルを投げた。
「入らないとだめ?」
「だめ。」
「眠いんだけど。」
「知るか。早く出てこないと寝るから。」
「って言って、起きててくれるだろ?」
「3分。経ったら先に寝る。」
「早いって。」
「喋ってないで入ってこいよ。」
「はーい。」
このやり取り嫌いじゃない。
だから俺はもう少しだけ、真斗に甘えてみることにした。
「だから、服は脱衣所で脱げって言ってるだろ。」
俺は服を脱ぎながらバスルームに向かった。
真斗は文句を言いながら、俺の服を拾っている。
こういう真斗の面倒見のいい所も好きだ。
「なんで俺がこんなことを……」
構って欲しいからだよと、俺は心の中で答えた。
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