香水

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俺は混乱する頭をなんとか働かせて真斗に言った。 「なんで?」 浮かんだ言葉がこれとかダサすぎる。 そんな俺に対して、真斗は初めて本音をぶつけてきた。 「晶のクズ。誰とでも寝やがって。」 もっと聞きたい。 真斗が俺をどう思っているのか。 「うん。あとは?」 「あとは......俺を解放してくれ。」 え?俺の聞き間違えだろうか? 真斗は俺から離れたいのか? 無理だ、真斗が居ない人生なんて俺には考えられない。 「それはできない。」 「どうして?」 「どうしてでしょう?」 だけど、こんな時でも俺は素直になれない。 真斗を繋ぎ止める術が分からない。 「おい!真面目に答えろ。」 「離れたくないんだ。真斗と。」 俺は真斗に抱きついた。 これが今の俺の精一杯だった。 「俺の事、抱いていいよ。だから、俺から離れないで。」 「晶は好きでもない奴に抱かれたいのか?」 「真斗のことは好きだよ。」 「友達としてだろ?そんな奴と寝るなよ。」 真斗には俺の気持ちが伝わっていない。 それは今まで俺が伝えようとしなかったから。 いつも誤魔化して、真斗を試すようなことをしてきたから。 自分のツケは自分で払う。 この時、俺は真斗に想いを伝えようと決意した。
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