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何時間ここに居るのかわからない。
俺は届かないと分かっているメッセージを送った。
その時、ふらつきながら、こちらに歩いてくる真斗が見えた。
俺の目にはうっすら涙が浮かんだ。
しかし、それを悟られまいと真斗に言った。
「真斗、遅かったね。」
真斗は返事をしなかった。
それどころか、視点が定まっていない。
俺は真斗の両肩を掴んだ。
「真斗ってば!なんで無視するんだよ。」
「ははっ、俺飲みすぎたかな?晶の声が聞こえる。」
「ね!真斗!しっかりして!俺はここに居るよ。」
真斗、気づいて。
俺はここに居るよ。
真斗の目の前に居るよ。
俺は自分でも驚くほど、大声で訴えた。
「晶?なんでここに...」
すると、我に返った真斗が顔を上げた。
「何度も電話したし、メッセージも送ったのに返信ないし、探し回ったけどどこにも居ないし、だから、もうここで待つしか...」
「泣いてるのか?」
「そうだよ!真斗が居なくなるから!」
俺は真斗に抱きついた。
もう絶対、離してたまるか。
俺は心に強く誓った。
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