あてつけ

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「だから、服は脱衣所で脱げって言ってるだろ。」 「なら、真斗が脱がして?」 俺は真斗を試した。 ゆっくりと真斗が俺に近付いてくる。 やっと、俺に触る気になったか? 俺はそっと目を閉じた。 「誰が脱がすかよ。ばか。」 「え、今はキスする所だろ!」 「なんで、俺がお前にキスしないといけないんだよ。」 「それは……」 さっきまで、他の男のに抱かれていた俺に、本当は真斗に触れて欲しいなんて言える訳がない。 「もういいよ。」 「何怒ってるんだ?」 「真斗の鈍感。」 「晶には言われたくないね。」 俺はその場に服を脱ぎ捨てた。 「人の話聞いてたのかよ。」 「シャワー浴びてくる。」 「ん、行ってら。」 全裸の俺を見ても、真斗は顔色ひとつ変えなかった。 真斗には俺のあてつけが効かない。 俺は途方に暮れた。
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