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「へぇ、莉子ちゃんのお兄さん、すごいね」
「なかなか切実な問題でねぇ、農家の嫁のなり手不足。わたしも都会に出た女子のひとりだから、ちょっとだけうしろめたさ? みたいなのがあってね」
累くんとそんな話をしていると、才造も重い体にムチを打つようにノソノソと近付いてきて、累くんとの間にわたしを挟んで寝転んできた。
「女子だけじゃないけどな。俺もそうだし。だって、地元じゃ進学先も働き口もないんだもん」
「さいぞーんちは農家でもないしねぇ。しかも次男」
「でも、農村婚活パーティーかぁ。面白そうだね」
「仲間をダシにしてるけど、たぶん大半は自分の嫁探しが目的だと思うよ」
「頼人さん、高校の時ちょこちょこ彼女いなかったっけ?」
そう尋ねてきたのは、高校の頃からわたしの兄を知る才造。
「まぁ、口が上手いから高校ではそこそこモテる方だったかもしんないけど。でも卒業する時に付き合ってた彼女も例に漏れず街に出て、しばらく遠距離恋愛してたんだけど、やっぱりそっちで新しい男ができたんだってさ。よくある話でしょ」
「あるある過ぎて不憫だ」
「さいぞーさん、莉子ちゃんのお兄さんと親しいんですか?」
「高校の時、剣道部の先輩だった。この前莉子の実家に挨拶行った時も、この動画まんまのノリでウザ絡みされた」
「田舎だし、高校ひとつしかないからねぇ。歳近い人はだいたい顔見知りだよ。うちの兄は特に馴れ馴れしいというか……面倒見とノリだけはいいから」
へぇ、と興味津々に相槌を打ちながら、累くんがゴロンと仰向けになった。
「二人とも、もうお互いのご家族ともすっかり打ち解けてるんだね」
「まぁね。もう付き合いも長いし、地元も一緒だから帰省のたびにお互いの実家にも顔出してるよ。兄だけじゃなくてうちの両親もさ、もうさいぞーのこと息子同然だと思ってるんじゃない?」
「へぇ」
「莉子なんて、俺以上に俺の家族と仲いいからな」
「さいぞー以上にってことはないけど……お義父さんもお義母さんも優しいし、お義兄さんとはまだちょっと距離あるけど、でも、妹の晴香ちゃんには懐かれてる自信あるね」
「『ダサいぞうは帰って来なくていいから、莉子ちゃんだけまた遊びに来て』って毎回言われる」
さらに、付き合い始めて間もない頃に初めて才造の実家へ行った時のエピソードを話した。
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