3-1 ラブコメのくせにプロポーズをサラッと流しますがご了承ください

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 晴香ちゃんは次兄である才造を見下している節があり、その才造の彼女なんてどうせ類友のダサいイモ女か何かだろうとタカをくくっていたらしい。 「それで初めて会ってわたしの顔見て、『この人がさいぞーのカノジョ!? 嘘でしょ、どーやってこんな人オトしたの!? なんか騙されてない!!!??』って騒ぐからさ。わたしどういうリアクション取ればいいのか分かんなかったよ」 「アイツいまだに事あるごとに『莉子ちゃんならさいぞーよりもっといい男がいるのに。ダサいぞうにはもったいなさ過ぎる』とかブツクサ言うからな。失礼にも程がある」  才造がそう付け足すと、累くんはゲラゲラ笑った。 「じゃあお互いのご家族にも祝福されてるようだし、お二人の結婚生活は順風満帆決定ですね」  ニコニコ笑いながら累くんはわたしの左手を取り、天高く伸ばして見せた。薬指にダイヤのついたリングが光っている。 「何度見てもいいよねぇ。さいぞーさんから莉子ちゃんへのエンゲージリング。よく似合ってる」 「……ありがと」  そう。わたくし神尾莉子、このたび今カレの草田才造と婚約いたしました。  高校で出会って9年、付き合って5年。元カレの大崎累くんを交えた変な関係になってから1年半を経て、プロポーズを受けた。  まぁ、普通のラブストーリーならそこんとこ詳細に語るべきなのかもしれないけど、サクッと済ませます。  場所はちょっといいレストラン。わたしの誕生日。才造氏、いつも通りのオドオドキョドキョドで指輪パッカーン。 「けっ……けけけケッコンしてっ、してくだっ、してくだはい」 「いいよー」  こんな感じで婚約完了。  本人はサプライズのつもりだったみたいだけど、まぁ読めたよね。だって、レストランに行こうってなった段階から挙動不審だったんだもん。  でも、わたしもサクッと返事をしたものの、こう見えて超嬉しかった。少なくともその後、人目もはばからず才造にハグするくらいには。  そして、わたしたちは婚約したことを誰よりも先にまず累くんに報告する席を設けた。
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