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「でも……さいぞーさんと莉子ちゃんと今のような関係になってからは、その夢を見ることが少なくなりました。特にお二人と一緒に寝る日は、とても安心して眠れる。束の間、僕が母を死に追いやったのかもしれないという罪悪感から逃れることができるんです。だから……僕の居場所は、お二人のそばにしかありません」
そう言って、彼はニッコリと笑った。その笑顔を見せられると、わたしも才造も何も言い返せなくなる。
「そういうわけなので、お二人のお言葉に甘えてこれからも僕は自由にさせてもらいますね。自由にお二人の愛の巣に出入りしていいってことですよね♡」
「いや待て。ドサクサに紛れてしれっとルール撤廃させようとすんな。自由に出入りしていいなんて一言も言ってない。出入りしていいのはこれまで通り、基本的に俺ら二人とも揃ってる時だけ」
「あれ、違うんですか? てっきりさいぞーさんの穴と、莉子ちゃんとのキスも解禁ってことかと思ったんですけど」
「違う」
それまでの神妙モードから、累くんはまた普段のヘラヘラ変態モードに戻った。
「頑なですねぇ。しつこいようですが、開発してしまえばハチャメチャに気持ちいいですよ? ホント、この世のものとは思えないくらいに……」
「だから何度も言うけどな、俺はただでさえ人道を外れるようなことをしているから、せめてそのラインだけは保ちたいの。悪あがきかもしれないけど、せめてそこだけは踏み越えずにいたい。些細なこだわりに過ぎないかもしれないけど……それは理解してほしい」
才造もまた真剣に説明したので、ふざけ半分だった累くんもその意図を汲み取り、フフッと笑った。
「冗談ですよ。さいぞーさんの気持ち、分かってるつもりです。貴男のそういう実直で真面目なところが、僕はたまらなく愛おしいんです♡」
「なんかこの糠に釘も一周回ってクセになってきたかもしれない……俺、末期症状かな」
もはや抵抗する気力を失った才造だった。
「そんなことより、お二人の結婚式には絶っっっ対招待してくださいね♡ 友人席で構いませんから。あっ、僕、友人代表スピーチやりましょうか?」
「累くんと桃にだけは頼まないと思う」
「え~、どうしてぇ?」
「何を暴露されるか分かったもんじゃないからな」
一年半かけて、ようやくそれだけは学習したわたしと才造であった。
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