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「あははッ、動画のイメージそのままの明るいお兄さんですねぇ。僕、何だかお話が合いそうです」
「おっ、俺の動画見てくれてんの? そりゃどーも。ところで、おたく誰?」
「こっ、この人はともだ……」
わたしが説明しようとするのを遮るように、累くんはペロッと自分の正体を明かした。
「申し遅れました。僕は大崎累と申しまして、莉子さんの元カレです♡」
「えっ、マジ?」
スコーン、とわたしと才造は揃ってズッコけた。それ言っちゃうんかい。
「さいぞーさんとは職場の上司と部下の関係でして、出会ったその日に僕が一方的に一目惚れしてしまったんです。あ、僕バイなので、女性も男性もイケるんですよ。それで莉子さんのことも今でも愛していますし、さいぞーさんのことも愛してしまったので、推しカプとして二人を応援させてもらうことにしたんです。それでこうしてお二人のそばに友人という立場で置いていただいているという次第です。以後、お兄さんとも懇意にしていただけると幸いです♡」
得意のキラッキラスマイル。よそ行き用のやつだ。
大抵の人ならばこの説明でポカーンとするけれど、うちの兄はそんじょそこらの人とは違った。
「ほぇ~、そうなのか。世の中色んなヤツがいるなぁ。ま、面白いからいいけどよ。よろしくな、累。俺のことは気軽に頼人って呼べ」
「納得しちゃうんだ? 今の情報量、よくそんな秒で処理できたね?」
「まだ出してない情報もあるけ……ふがっ」
累くんが余計なことを言いそうだったので、わたしはとっさにその口にとうきびを突っ込み、物理的に塞いでやった。コミュ強が二人揃うとロクなことにならなさそうである。そしてうちの新鮮なとうきびは生でもイケるのだ。
「あっヤベ、会合に遅れちまう。ま、そーいうわけだからよ、ちっと出かけて来るわ。夜また来るから、荷物置かせといてな。そうそう、莉子に頼みたいこともあんだよ」
「え、何?」
「また晩に話すわ。晩メシは食ってくるからおかまいなく~」
そう言い残し、兄は嵐のように出かけて行った。
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