77人が本棚に入れています
本棚に追加
「……いるじゃん、超イケメン! 累が広告塔になってくれたら、女子大殺到じゃねぇぇ!? あんた、サクラやんねぇ!!?? さいぞー、ついでにお前も!!」
「え~……それ、サギじゃないんすか。しかもついでって」
「あははッ、女性を騙すなんて僕にはできませんよぉ。それにサクラを立てて人を集めても、それでは本来の目的が果たせないのでは? 参加者の男性たちが置き去りになりますよ」
累くんがもっともらしくそんなことを言って兄を諭したけれど、相当自分に自信がなきゃ言えない台詞だなとわたしは内心こっそりツッコんだ。普通の人なら「いやいや僕なんて」と謙遜するところだ。
「まぁ、それもそうか……女子がみんな累とさいぞーにばっかり殺到したら、それこそ意味ねぇな」
軽く落胆する兄に、累くんはニコッと笑ってまたこんなことを言い出す。
「サクラはやれませんけど、もし良ければ他のことでお手伝いしましょうか? 僕でお役に立てるかもしれないことがあります」
「えっ、何?」
「まぁ、莉子ちゃんたちと僕も同行させてください。その時のお楽しみということで。さいぞーさん、俺は関係ねぇって顔してないでください。さいぞーさんも一緒に来てくださいね」
「はっ?」
累くんの意図はよく分からなかったものの、わたしは正直、少し胸を撫でおろした。この人、兄にいらんことをバラしたんじゃないかという心配が杞憂に終わったと思って。
――でも、その安心はすぐに打ち砕かれた。
「それはそうとよ。莉子、お前やるなぁ」
「えっ、何が」
「街に出てすっかり垢抜けたと思ったら……逆ハーレムしてるなんてなぁ~。今カレと元カレ、二人侍らせて3Pしてるとは。兄ちゃんおったまげたわ」
ほぎゃーーーーーーー!!!!!!
と、声にならない叫び声をあげて、わたしは顔をこわばらせ、ギロリと累くんを睨みつけた。やっぱり喋ったな。
「やだなぁ莉子ちゃん、そんな怖い顔しないでよ。口を滑らせたのは僕じゃなくて桃ちゃん。バレちゃったから、僕は仕方なく状況説明しただけ」
「ごめーん、てっきり頼人も全部知ってるもんだと思ってぇ♡」
てへぺろりん☆ と桃が舌を出す。そっち経由かよ。どっちにしても絶対確信犯だ。
最初のコメントを投稿しよう!