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「わっはっは、でもよ、言われなくてもお前ら見てりゃ何となく想像ついたわ。こりゃ~ただの友達って雰囲気ではないなと」
「うっ」
「3Pくらいでガタガタ騒ぐな。別に珍しいことじゃねぇよ。俺なんてよぉ、初体験が3Pだったからな」
「うっそ! おニィもやったことあるの!!?」
衝撃の事実である。血は争えない……というのか。
「昔、桃ちゃんと付き合うことになった時によ、俺初めてだっつったら、じゃあこの人に色々教えてもらえって連れてきたのが、当時学校一の遊び人で有名だったナリタ先輩よ。んで、当時幼気だった俺はそーいうもんかと思って特に疑問も抱かず、あれよあれよという間に……今思うとあれ、桃ちゃんに騙されたよなぁ」
と、ブッ飛んだことを言いながらも兄は豪快にワハハと笑っている。
「だってぇ、あたしも当時まだ経験浅かったしぃ。童貞相手なんて荷が重かったんだも〜ん。ま、若気の至りよねぇ」
だも〜ん、じゃねぇわ。開いた口が塞がらなかった。わたしが言うのもなんだけど、わたしの周りには倫理観というものが存在しないのか。というか、桃がすべての黒幕のような気がしてきた。
「まぁ、大抵はその場限りの遊びだろうけどな。お前らみたいに、3Pトリオで全員本気になって結婚する道を模索しようとするヤツなんて、そうそういないだろうなぁ」
「そんな道、模索した覚えはないんだけど。ねぇ累くん……うちの兄にどういう説明をしたの? 解説プリーズ」
「え~? だからぁ、事実をありのまま話しただけだよ。僕はできれば一妻多夫で家族に入れて欲しかったけど、二人に断られて共通セフレとしてやって行くことになったって。僕の強い要望でそうしてもらってるって、ちゃんと頼人さんには説明したから♡」
がくーん。と、わたしと才造は四つん這いになってうなだれた。
「そんな人生オワタみたいな顔すんなって~。別に言いふらしゃしねぇよ。誰だって、人には言えねぇことのひとつやふたつくらいあんだろ」
「おニィ……お兄様ァァァ!! お願い、お父さんとお母さんには言わないでぇぇ!!!!!」
「おっ………俺からも、お願いします……」
わたしだけでなく、才造も冷や汗をかいている。
「安心しろよ。俺だって言えねぇわ。ウチぁ割とゆるい家庭だけど、さすがにひっくり返んだろ。わざわざ親の寿命縮めさすようなことするかよ。でもなァ、累も変わったヤツだな。そんな立場で満足するなんてよ」
「はい♡ お二人の幸せを一番そばで見守ることが、僕の生きがいですから」
「健気だねぇ。女だったら俺が嫁にもらってやんのにな」
「え、本当ですか? 男じゃダメですか? 莉子ちゃんと親戚になれるならそれもアリかも」
「ごめん、俺いらんこと言ったわ」
この兄の一枚上手を行くとは、やはり累くん侮りがたし。
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