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「この人とこの人、同一人物です。彼が西高校に通っていた頃の写真です」
えぇ~~~~~っっっ!!!??
と、またしてもギャラリーがどよめく。
「あっ、思い出した! おめぇ、クソダサいぞうだべ!! 俺と高校一緒だったべや!!! 普通科だったべ!!」
「あぁ~、あれだべ! 税理士の草田先生んとこの次男坊か!!」
参加者の何人かがそう叫び、才造はもはや無の表情でそこに立っているだけだった。そして累くんは、さらに水を得た魚のように熱弁を振るい始めた。
「そう、このクソダサいぞうが! ほんの少し手を加えられただけで!! ここまでイケてる極上の男性に変貌を遂げ!!! ついにはあの美女をゲットするまでに至ったんですよ!!!?」
おぉ~~~~~~っっっ!!!!!
と、どよめきが歓声に変わった。
「ですから皆さんも! ほんの少しの努力で!! ここまで変わることができるんです!!! こうなれば素敵なお嫁さんをゲットするのも決して夢ではありません!!! いいですか、皆さんのこれからの人生で、一番若いのはいつですか? そう、今でしょ。これからは老いていく一方なんですよ。その一番若い今、一歩を踏み出さずにいつ踏み出すんですか!!???」
なんかどこぞの塾講師みたいなことを言っているけど、受講者たちの心を掴むのに十分な説得力があったらしい。
「そっ、それはそうだなぁ……年食ったら食っただけ、余計に嫁さんなんて来ねぇべな」
「俺、ちょっと頑張ってみっかなぁ……!」
「んだァ、ダサいぞうにもできんだら、俺でもやれるかもしんねぇ……!!」
累くんの熱いプレゼンでギャラリーの心に火が点った。
「ふぅっ、皆さんやる気になってくれましたね。良かった良かった。さいぞーさんのお陰です♡」
「俺、このためだけに呼ばれたわけ? なんか傷ついたんだけど」
「いいじゃないですかぁ、人の役に立てたんですし。それに僕はビフォーのさいぞーさんもたまらなく愛おしいですよ♡」
「前から薄々思ってたけどお前、実は腹の底では俺のことバカにしてるよね?」
その一連の様子をわたしの隣で聞いていた桃は、最後にこんな感想を漏らした。
「なんか累くんってぇ、年寄り相手に高い壺とかバンバン売ってそうよね」
同感です。
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