3-7 急転直下

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「なんでそんなこと思ったの」 「いや、でも……」 「いいから。莉子の思ってること全部言って」  低くて落ち着いた才造の声は、いつもわたしを素直にさせる。 「……なんかね、あの時と似てるような気がして」 「あの時って?」 「……昔、急に累くんにフラれた時。なんかあの時みたいな空気……今日、累くんから感じた」  ほんの一瞬、才造が言葉を詰まらせた。 「や、ごめん。考えすぎだよね。また急にいなくなるとか、さすがにそれはないよね」 「まぁ、仕事もあるしな。突然辞めるとか、そんな無責任なことさすがにしないんじゃない。こっちも困る」 「だよね」 「だいたい、ついこの前だって堂々と俺らの周りに居座る宣言したばっかだし……って、なんかアイツにいてほしい理由を必死に探してるみたいで嫌なんだけど」  才造がいつものように顔をしかめたので、わたしはまたアハハと笑った。  その夜は二人で抱き合い、一対一で素肌を交じり合わせた。ピッタリと吸い付くように、互いの身体の感触を確かめ合った。
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