Prologue: モーニングコーヒー飲もうよ。三人で

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 そして累くんと別れて4年の年月が流れた今――  わたしは子供の頃からの夢だったネイリストの職につき、高校時代の同級生だった才造(さいぞう)と結婚も視野に入れた交際中だ。仕事も私生活も順風満帆――のはずだった。  なのに。  どういうわけか今、元カレである累くんのアパートで朝を迎え、今カレの才造と三人でダイニングテーブルを囲み、優雅にモーニングコーヒーをすすっている。  いや、優雅に――というのは少し語弊があるかもしれない。何せわたしは累くんに借りたオーバーサイズの白いTシャツを一枚身に着けただけの格好だ。俗に彼シャツとかいうやつ。ちなみに才造はバスローブ一枚だけ。さらに累くんもラフな部屋着姿。  もし第三者がこの光景を見たら、間違いなく何かいかがわしいことが起こりましたねと思うことだろう。  そんな中、どこか居心地が悪いわたしと才造に向かって、累くんは女の子と見紛うほど美しい顔に柔らかな笑みを浮かべてこんなことを言い出した。 「三人で、一妻多夫婚しませんか?」 「……はい?」  一体、なぜこんなカオスな状況になってしまったのか。その発端は、今から数週間前の出来事に遡る。
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