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1-2 小悪魔系女友達に相談してみた
「あぁ、マンネリ化ねぇ。よくあるやつね」
その不満を、わたしは女友達の浅香桃に聞いてもらうことにした。同郷の友人で、才造との共通の知人の一人だ。
小柄で栗色のゆるふわパーマがよく似合い、一見男ウケしそうな見た目の彼女はその日、わたしを指名してネイルサロンに客としてやって来た。毎度様です。
桃の爪の甘皮処理をしながら、最近才造とはどうなの? と話題を振られたので、ここのところ盛り上がりに欠けることを打ち明けてみた。
勤務中にお客様相手にそんな話をしていいのかって? もちろん好ましくはありません。お叱りを受けても文句言えません、はい。一応個室にはなっておりますが。
「一緒にいて安心するし、決して嫌いになったわけじゃないんだけどさぁ……なんか、付き合い始めた頃のドキドキ感がないっていうか。デートも夜の方も、いっつもわたしから誘ってばっかりだし、しかも毎回同じパターンで流れ作業みたいな」
「うわ、やだそれ。超つまんない」
桃は嫌~な顔を隠そうともせず、率直な感想を漏らした。
「会っても何もせずに寝ることも多いし。ま、長く付き合ってたら仕方ないことなのかもしれないけどね」
「何諦めてんのよ。莉子あんた、それでいいわけ?」
「だってさぁ、結婚してもずっとドキドキしっぱなしなわけじゃないじゃん? 熟年夫婦とかみんな落ち着いてるでしょ」
そんな発言をすると、桃がはぁ~と深く息をついた。
「今からそんな枯れたこと言っててどうすんのよ。若さを無駄にするなんて勿体ないわ。あたしならそんなの耐えられない。生まれてきたからには、恋をしてドキドキして、人生楽しまなきゃ損よ。それが美しさを保つ秘訣にもなるでしょ? 莉子あんたね、こんな仕事してるんなら美意識を高く保ち続けることも必要じゃないの?」
なんかもっともらしいことを言っているけど、桃の場合、ただ男をとっかえひっかえする大義名分にしているだけな気がする。この女、ふんわりした見た目とは裏腹に、しょっちゅう色んな男とくっついたり別れたりしているビッチである。いつだったか飲み会の時、才造がボソッと「元カレ量産マシーン」と異名をつけて本人にシバかれていた。
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