やっぱり遠い存在だった

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やっぱり遠い存在だった

「はぁぁ……。なんかもう色々無理」  私は自室のベッドに制服のままダイブし、脱力する。 「高校生って……通学も勉強も大変そうだなぁ」  中学3年生になり受験を控えている今、あちこちの高校見学に参加している。  それは決して志望校に限らないという事なので、私は立石先輩が通う北山高校の見学会に参加した。 「先輩……遠い存在がもっと遠い存在になったなぁ……」  北山高校は県内でもトップクラスの進学校で、学年順位が上から数えても下から数えても変わりない私では、どんなに努力しても入学できない。  だからこの高校見学を利用して少しでも先輩と同じ空間を味わいたかったけど、逆にそれがここは自分の世界とは違う世界なのだと思い知らされた。  学校内でなんとか探し当てた立石先輩は、見慣れない制服を着て大人びて見えた。  周りにいる女生徒も大人っぽく、ポニーテールに身長150cmの中学生丸出しの自分が恥ずかしく思えた。 「部活動も観たかったのに……」  午前中に見学と説明会が終わってしまったので、観ることは叶わなかった。  そもそも先輩が何部に所属しているのかわからない。  先輩の妹の萌とはクラスが別になってしまったので、「先輩は何部に入ったの?」なんて聞こうにも滅多に会う事がない。
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