03. 兄弟みたいな関係

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「うーん。友達?」 「それなら俺だって友達だろ。こいつと同じか?」 「違う」  思わず違うと即答してしまい、あっ……と思い、チラリと太陽の様子をうかがい見る。ごめん、太陽。悪気はないんだ。  太陽は複雑な表情をしていたけど、気を取り直したのか、それとも気付かないフリをしたのか、話を続けた。 「じゃあ何なんだよ?」 「うーん……幼馴染?」 「それにしちゃあ距離が近過ぎないか?」  太陽はおれの返答に間髪入れずにポンポンっと返してくる。  おれは、蒼人との関係って一体何なのだろうって、じっくり考えることなんてなかった。だって、物心ついた頃には隣にいたんだ。そしてずっと一緒に大きくなってきた。どんなときでも、蒼人はおれの側にいた。大げさではなく、辛い時も悲しい時も楽しい時も、全部分け合ってきたんだ。  そういうのを唯一無二の存在っていうのか? ……そう考えると、家族。兄弟。そんな言葉が合うんじゃないかって思うんだ。 「兄弟? ──そうだよ、兄弟と同じ。同じ年だし、双子みたいなもんだ!」  双子? と首を傾げる太陽の横で、おれはやっと正解にたどり着いたと言わんばかりに、嬉しそうに声を上げた。  おれと蒼人の関係について、なんとなくモヤモヤするものがあったけど、今回のが一番しっくりくる気がした。 「森島……。お前、大変だな」  スッキリとした気分でいるおれの耳に入ってきたのは、太陽が蒼人に向けた言葉だった。  何が大変なのだろうか? おれは問題児じゃないし、困るようなことしてないと思うんだけどなぁ……。  うーんと考えながら蒼人の顔を見ると、困ったような、少し寂しそうな、そんな顔をしていた。  やっぱり、なにか思うところがあるのかな? ……おれは首を軽く傾げて、蒼人に問うような視線を送ってみたけど、先ほどと表情は変わらない。  兄弟同然なおれにも言えないことなのかな? 太陽には分かっていて、おれには分からないというのが、釈然としなかった。  自分の中で、蒼人との関係を言葉にすると? という疑問に対して導き出した、『おれ達、兄弟みたいなもんなんだから』……この考えが、後々おれ自身の心に重くのしかかることになる。  太陽の言葉の意図も、蒼人の表情の理由も、おれが知ることになるのはもう少し後のことだった──。
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