25. 二度目の入院

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 今度は起きられるかな……と、ゆっくりと身体を起こしてみた。大丈夫だ、普通に起きられる。  手をグーパーしてみたり、身体を捻ったりしてみる。  そして、ゆっくりと口を開いて、声を出してみた。 「あーあー」  声も大丈夫そうだ。ちょっと引っかかりはあるものの、普通に話せそうだ。  んんっと、咳払いをし、もう一度声を出す。 「……あお、と。……蒼人、いる……?」  蒼人はまだ近くにいることを確信して、名を呼んでみた。蒼人の匂いがまだ残っているから、帰ってはいないはずだ。  その呼びかけに応えるように、病室のドアが開いた。 「ああ、起きたか。ゼリーとか買ってきたけど、何か食べられそうか?」  ビニール袋を下げた蒼人は、ベッド横のテーブルへ、ゼリーやヨーグルトプリンなど、軽く食べられそうなものを並べていった。 「先生に確認してあるから大丈夫。明日からは病院で食事が出るから」 「ん、ありがと。……ゼリー、食べる」  恐る恐る声を出しているから、少しカタコト気味だけど、普通に話せてるようだ。  そんなおれを見て蒼人はうんと頷いて、ゼリーを自分の手元に持っていくと、すぐ食べられるように準備をした。そして、あーんと言いながらおれの口へとゼリーを運んだ。  ゼリーを食べ終わる頃、今まで気にならなかった肩の違和感を感じた。  ん? って思って手を当てると、ズキッと痛みが走った。  ……っ!  思わず顔をしかめると、蒼人の表情が一気に険しくなった。 「くそっ……」  おれから顔を背けて、聞こえないように舌打ちをしたんだろうけど、しっかりと聞こえてしまった。  いつも穏やかな蒼人が、こんな態度をとるのは珍しい。  それに、この肩の痛みはいったい……。  もう一度そっと触れる。今度は、病院着の中まで手を潜らせると、肩のあたりにガーゼのようなものがあてられていた。  おれ自身は何があったのか全く覚えていないが、この態度からすると、蒼人は知っているんだろうなと思う。聞いたところで、教えてくれるかはわからないけど。 「なぁ、蒼人……。何があったか教えてくれるか?」  しっかりと背を向けてしまった蒼人の背中に向かって話しかける。  大丈夫だとか、何もなかったとか、流石に言えないだろう。  言い辛いことなのかも知れないけど、おれには知る権利がある。
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