31. 巣作りと約束

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 おれは多分耳まで真っ赤なんだと思う。蒼人はどんな顔してるんだろう? って興味が湧いて、背後から抱き込まれている姿勢を変えようと、モゾモゾしながら顔を横に向けたら、唇にチュッとキスをされた。  どんな顔をしてるか見てみたいと思った蒼人の顔は、めちゃくちゃ嬉しそうに破顔していた。  恥ずかしいけど、こんな顔の蒼人が見れるのなら、甘えるのも悪くないなって思う。 「……なぁ、おれ達って、……付き合ってるってことで、いいのかな?」  先日、頭に浮かんだものの、落ち着いてから改めて蒼人に確認してみようと思っていたこと。  おれが告白して、蒼人も好きだって言ってくれたけど、それがイコール付き合うってのとは、別の可能性だってある。  付き合ってるつもりは自分だけでした……なんてなったら、嫌だな……。 「そうだな。ちゃんと言葉にしないとな。……麻琴、俺と結婚を前提にお付き合いしてください」  蒼人の曇りない瞳がおれをしっかりと捉えた。   「番になる約束はしたけど、まだプロポーズは保留にして欲しい。麻琴をちゃんと養えるようになってからにしたいんだ。でも、一生お前を離すつもりはないから」  普段口数の少ない蒼人が、これだけ饒舌に気持ちを伝えてくれるというのは、たくさん蒼人の中で考えて言葉を選んでくれた結果だと思う。 「……うん、ありがとう。……おれたち、結婚を前提の付き合いってことでいいんだ……」  顔が熱くて仕方ないけど、嬉しくて幸せで顔はだらしなく崩れているのだと思う。  おれと蒼人は、恋人同士──。  ああ、ダメだ。最高に幸せすぎる。こんなに幸せでよいのだろうか。  少し前まで、身を引かなければいけないと思っていたのに、幸せの大どんでん返しだ。   「おれの恋人の麻琴は可愛い」  気付くと、おれの顔を覗き込んでそんなことを口にした。  蒼人もデレが加速中だ。   まだまだ照れはあるものの、やっぱり嬉しいおれは、エヘヘって頬をポリポリとかいてモゾモゾと動き、完全に蒼人と向かい合う姿勢を取った。  そして、今度はおれから蒼人の唇へ触れるだけのキスをした。
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