虹の扉へ

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虹の扉へ

少しずつ雨もあがってきて、空が明るくなってきた、、、 木々の葉に、雨の雫がキラキラと時より光って見えて、幻想的だ、、、 祝言の様子は、霧の中で、殆ど見えなかったのだが、、、 夢か現実か、、、 もしかしたら、テレビをつけっぱなしで、私は、眠ってしまっていたのかもしれないとさえ思った。 『狐の嫁入りです、、、』 と、聞こえてから、雅楽の楽器の音が聞こえてきたのは確かだ、、、 龍笛(リュウテキ)の独奏で始まる〝越殿楽”(エテンラク)が、耳に心地よかった。 その音色を奏でていくと、まるで、こちらへ、、、そんな空気を纏って、龍神が道案内しているように見えた。 龍神の後を、狐の嫁入りの行列が、粛々と進んでいく先に、また、パラパラと雨になっていくが、 お天道様も顔を出して、『おめでとうございます』 と言っている側に、綺麗な虹が掛かかりだし、 『これ、これ、、、』 と心の中で叫んでいた。 人に見られてはいけない掟、、、 そんな掟があると云うが、、、 狐は、人を化かすお家芸があると云い伝えがあるのは、承知しているが、 何故、神様の使いであり、眷属に選ばれたのか、、、 眷属は、神様の従者、家来である訳で、人々が持っている様々な欲望を直接、神様に祈願するのは、 畏れ多いとし、神様の使い手として、特別に選ばれたのが、狐さん、、、 古くは、神道の原形として、田の神、山の神の信仰があって、春になると、神様が、山から里へ降りて、 田の神となって稲の生育を守り、収穫が終わる秋に山へ帰って行かれ、また、山の神となる、、、 狐も、農事の初めから、収穫が終わる頃まで、神様と同時期に里山で、姿を見せたことから、眷属となったと云い伝えがある、、、 神様の使いとしての一族であるならば、粛々と、執り行われる祝言が、やはり、人目につかないように、配慮されているように感じた。 掟、、、弱者を守ることが掟だと聞いたことがあるが、そんな言葉で律しているのが、神様に近いもの達の取り決めとは思えない。 きっと、都合のいいように人間界で、〝掟” と決めてしまったのだろう。 都合の悪いものに、蓋をして、長い、長い時間が過ぎていったが、そろそろ、色んなことが、モノが復活し出すのではないかと思った。 清々しい朝になった、、、 綺麗に色が反転した二重の虹が、くっきりと見えた。 主虹の外側が赤、内側が紫、、、副虹の外側は紫、内側の赤が美しかった。 光の強さが強い時に、二重の虹が見えるという、、、 光の反射で、虹の扉ができたように見え、その扉の中へ狐の御一行さんたちは消えていった、、、 狐の嫁入り‥‥‥ ‥‥‥今度、お天気雨に遭遇したときは、『おめでとうございます』 と、呟きながら、虹を探して見てはいかがでしょうか! また、いつの日か、夜中のテレビに、霧が立ち込めてくれることが、なんだか、待ち遠おしくなりました‥‥‥。 宇迦之御魂大神様、この度は、ご招待頂きまして、有難うございました。 終わり。
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