緊急中継

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緊急中継

『今日も1日、お疲れ様でした……』 自分へ労いの言葉を、かけつつ、、、 今日こそは、早く寝れると思っていた。 就寝のつもりが、、、眠れず、ちょっとお腹も空いてる?、、、 視聴途中になっていた海外ドラマを思い出して、見ようとテレビをつけると、 いつもは、すぐに動画配信の画面になるのだが、、、 『あれっっ?‥‥どした?』 そう思った瞬間、画面は、霧が立ち込めたような映像になった。 「ただいま、調整中ですので、少しお待ちください」 そんなテロップが出たので、テレビとニラメッコ状態だった。 『これは、早よ寝なされ』‥‥そう言うことか?と勝手に思ったが、、、 まだ、画面を睨んでいた、、、 『少しお待ち下さい』の少しって、どのくらいなんだろう? ふと、〝少し“がどれくらいの時間か、気になった、、、。 気づくと、画面が、サァーーーーーっと、砂嵐の画面になっていった、、、 『なぁ〜んだ、見れないのか?‥‥‥‥あの霧が立ち込める感じは、何だったのか、、、』 テレビと、ニラメッコしている間に、目は覚めていたので、 そのまま、テレビのスイッチを消さずに、付き合うことにした。 キッチンへ麦茶を取りに行き、部屋へ戻ると、テレビの画面は、 雨の映像が、流れていた。 土砂降りの雨、、、薄暗い森のような、山の中のように見えた、、、 すると、声が聞こえてきた、、、 「えー、、あっ、あっ、マイクのテスト中です、、、」 「これから、雨も止むそうだから、準備は予定通りにねっ、、、」 そんな声が聞こえた、、、。 向こう側の人達は、声が入っていることに気づいていない様子だった。 「えぇぇーー何これ、ニュースですか?、、、緊急速報ですか?」 画面に向かって話しかけていた、、、 相変わらず雨模様の映像が流れているが、 私の問いに、答えるように、誰かが、こちらに、話しかけて来ているようだった、、、 「どなたか、この放送をご覧いただいてますか?」 「こちらは、只今、生中継しております。が、この場所が、何処かを申し上げられないのは、 昔からの、取り決めとなっているとしか、お伝え出来ません」 「はぁぁ?」‥‥ソファーから立ち上がり、テレビ画面に食い入るような姿勢になっていた。 「この映像を視聴可能な方を、勝手ながら、こちらで決めさせて頂きましたので、 お時間がある方には、是非、ご覧頂き、ご参加くださいますよう、宜しくお願い申し上げます。」 そんな声が流れて来た、、、 「ちょっと、何言ってるか、わかりませんけど?」 テレビ相手に、言い返す様になったら、赤信号だよっ‼︎ そんな事は、お構いなしに、自然と言葉を発していた。 「また、貴重なお時間の中で、電波ジャックしているように思われている方へ、 くれぐれも、誤解がございません様に、今、1度、テレビを消して頂くと、元のチャンネルへ、 戻りますので、ご自身で選択いただきます様、当責任者であります、宇迦之御魂大神より、 謹んで申し上げます。」 「なぬっっ?」‥‥驚いて、麦茶をこぼしそうになった。 「宇迦之御魂大神?」 《ウカノミタマノオオカミ》 稲荷大神は、御神名を宇迦之御魂大神と称し、五穀をはじめ一切の食物を 司る神様、生命の根源を司る『命』の根の神様です。 皆さんが知る、お稲荷様‥‥ でも、そう聞くと、狐を思い浮かべる方も、いらっしゃると思いますが、狐さんは、稲荷大神の、お使い。 熊野神社のカラスさん、八幡神社の鳩さん。 眷属(ケンゾク)と呼ばれ、神様の、お使いをする霊獣です。 テレビの画面を睨みつけていたが、途端に、姿勢を正して、かしこまって、 テレビの前に正座して、画面を見つめている自分がいた。
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