蜘蛛の糸

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蜘蛛の糸

 残暑もようやく和らいだ九月の午後、大学の研究室にいる柏木祐介のもとに、堂島警部補から電話が入った。 「堂島さん、先日はどうも。すっかりご馳走(ちそう)になってしまって」 「いいんですよ。柏木さんにはいつもご協力いただいているんだから。感謝状も、一枚や二枚なら話の種くらいにはなりますが、これだけ増えるとねえ、せめて美味しいものでも召し上がっていただかなくては……、と言うそばから(なん)ですが、実はまた一件、ご相談したい事件が起こりましてね」 「どんな事件でしょう?」 「霧島(ゆたか)という、蜘蛛の糸の研究者をご存じですか?」
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