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「かなり高額のアンティークだと思いますよ。広々とした室内に趣味の良い家具と調度品……、すばらしいお住まいですね」
「ご承知でしょうが、このマンションは妻の持ち物でした。結婚祝いにと、親にねだって買ってもらったんです。家具や調度品も同様です」
「話は変わりますが、一点だけ腑に落ちないことがありましてね。霧島さんのお考えをうかがってもよろしいですか?」
「どんなことでしょう?」
「申し上げにくいんですが、奥様と大和俊二のスマートホンのやり取りを見る限り、二人の間に不和が生じていたことを示す痕跡が何もないんです。奥様の態度に、最近何か変化はありませんでしたか?」
「どうでしょう……、すでに申し上げた通り、妻に愛人がいたことすら気づいていませんでしたから。ただ、私と妻の関係で言えば、大手繊維メーカーとの業務提携が実現しそうなので、彼女に出してもらっていた七千万円は近々返せそうだという話をしたところでした」
「ほう、それはいつのことで?」
「事件の当日です。内密に願いたいんですが、あの日の出張もその話をつめるためだったんです」
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