蜘蛛の糸

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「あれを(かく)(おび)、スタビリメンタムなどと呼ぶんですが、あの模様を作っている糸と、コガネグモの本体が、紫外線を反射しているんです。それで、海外の実験ですが、あの模様が多いほど網にかかる獲物の数が増えるというデータがあって、紫外線の反射を利用して獲物を捕まえているのではないかという説があるんです。花の蜜を求める昆虫は、紫外線を反射する花弁にまず引きつけられ、さらに蜜のある紫外線吸収部に誘導されるので、その習性を利用しているのではないか、というわけです」 「なるほど、面白いですね」 「他には、鳥も紫外線が見えるので、鳥にぶつかられて網を破られないようにしているのだという説もあります。効果が一つとは限らないんだから、両方の役に立っているとしておいて構わないように思ういますが」 「紫外線の反射、吸収か……、ジョロウグモの糸の場合、太陽光の強度に近い紫外線を照射(しょうしゃ)すると、一時的に強度が上昇するというデータもあるし、紫外線の吸収率と強度の相関を調べてみるべきかもしれませんね……」
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