蜘蛛の糸

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 柏木は満足そうな笑みを浮かべて、カプセルをキャリングバッグの中にしまい込んだ。 「私も尻尾(しっぽ)の青いトカゲを見かけたことがありますが、あれは子供なんですか?」  再び霧島豊のマンションに向かいながら、堂島が尋ねた。 「ええ。青い方が目立つから、例の尻尾切りがより有効になる、ということのようです」 「なるほど……。しかし、ガチャガチャでしたっけ? 柏木さんがこんなにお好きとは知りませんでした」 「ミニチュアには、その物体だけでなく、それが存在していた空間も一緒に縮小しているような感覚があって、そこがたまらなく好きなんです。小宇宙を手にしている感覚とでも言うのかな。(びん)の中に帆船(はんせん)を入れたボトルシップや鉄道模型のジオラマを例に挙げたらわかりやすいでしょうか……。僕が寄生バチに()かれたのも、そのせいかもしれません。大型昆虫の数百分の一の大きさなのに、能力的にはまったく引けを取らない」 「すると、寄生バチは昆虫のミニチュアですか」
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