3人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、はあはあと息をつき。気が付けば、見る影もないほど真っ黒になったキャンバスが目の前にあり。それから、庭先の方を垣間見ると。やはり、そこに再現されていた。庭全体を、そしてその向こうの空間をも包み込む、「永遠の黒」が。
次に私は、服を脱いで全裸になると、残った絵の具をわが身に塗り始めた。絵筆だけでは物足りず、パレットを直接肌にこすりつけてまで、自分の身を完全なる「黒」に染めあげようと試みた。
そして、私は。
庭先に歩み寄ると、体を前方へと傾け。黒く塗りつぶしたわが身を、迷うことなく庭の中へと投じた。
私の体は少しずつ、庭を覆い尽くす「黒」の中へと溶けて行き。やがて、その黒と一体化した。私は、永遠なる「黒」となり、このまま庭の中に居続けるのだろう。この闇が、ここで続いていく限り……。
最初のコメントを投稿しよう!