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とにかくいなり寿司を買って御供えしろ。
ジャーキーとちゅっちゅくちゅーるの在庫の減りが激しいそうだ。問い詰めろ。
ネズミやゴキブリの類いの気配がない。衛生面に配慮し腹が膨れた店員が棚の下で昼寝しているぞ。
棚の上まで美しく陳列されている。だが届くのは一部の店員だけにゃ。
おいおい、ふざけすぎだろ。そういう店でいいんだよ、昼間は。
そうでもしなきゃ人手が回らない。コンビニの労働って結構キツいんだってさ。だからこれはちゃんとしたアイデアなんだ。
人間は一人いれば対応できる。肉体労働は獣たちで補うことができた。だからオーナーがこの作戦に出たわけさ。
訊いたらさ、オーナーの親が獣医なんだって。だからワクチンも打ってあって、健康診断も優良。洗濯、じゃなくて風呂もちゃんと入れてある。それに増えすぎないように手術もしてある。
夜は人間が店に入るんで、出勤は昼間だけ。出勤してない間は店長の知り合いが大家をやってる、これはグルだな、アパートだか借家だかに籠ってる。
全部の獣ができることじゃない。一番重要なのが「化ける」ことができる獣であること。
化けキツネ、化けタヌキ、化けネコ、大蛇、などなどついでに行き場のないアライグマとか。特殊なやつらなんだ、そのコンビニで働いてる獣たちっていうのは。
全部を救うことなんてできない。わかってるよ。ならせめて一部くらいは。
なあ、それくらい、許してくれよ。
そう考えたのかな。
昼にそのコンビニへ行けば会えるぜ。訊いてみなよ。コンビニに雇われた動機。
そうそう。夕方よりちょっと前、つまり交代の時間な。その時にコンビニの裏にある物置き、そこの更に裏。
いるぜ。コンビニ店員たちの疲れきって伸びた姿が。
何か差し入れでもしてやれば、話してくれるかもな。
俺が昼にだけ行く、森と山の麓にあるコンビニの話だ。
まだ太陽が上っていない。暗い。暗い。
きっとあのコンビニは人間で溢れているんだろう。だから、俺は、コンビニには寄らずに帰ってきたばかりの町の中を歩く。
時刻は未明、朝一時。
夜と見るか、朝と見るか。
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