少女

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 近所に黒い服ばかり着ている女の子がいる。そのことは知っていたが、特にしゃべることもなかったのでそのままにしていた。が、ある時、僕が雨宿りをしているところに、その子が来て一緒に雨宿りすることになったので、そのことを聞いてみた。女の子は「わたし、双子で生まれるはずだったの。でもその子がママのお腹の中で死んじゃって。その子が死ぬ前に、その子の分までわたしが生きるって約束して。その子のことを忘れないために喪に服そうって決めて、だから生まれてから黒い服だけを着ることにしたの。」僕の頬を涙が伝った。
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