1人が本棚に入れています
本棚に追加
「すみません、なんで私のだけ変な砂糖菓子が乗ってるんやろか」
「なぜって?あなたがお子様だからよ」
「えぇ?!そんな……もう20歳超えてるんですけど、まだお子様ですかね?」
目の前にある背の高いケーキを見つめながら青年は困惑する。
気まずい空気の中お茶会が続く。
そしてそこに至るまでにさまざまなやりとりがあった。
あれから部屋に入った青年は、黒いローブの人物に勧められ席につくことになる。
扉の先の広い部屋には既に三人。
一人は白いローブ、もう一人は灰色のローブ。最後の一人は真紅のローブ。
そして間もなく、そのうちの一人がケーキを取り分ける。
切り分けられたそれをどこからともなく現れた召使がそれぞれの席に運んだ。
運び終わった召使は他にやることがあるとばかりにいそいそと部屋を出る。
青年は不思議そうにその後ろ姿を見守る。
そしてケーキを配り終えると、白いローブの人物が紅茶を青年に差し出した。
「いらっしゃい、新人さん。私たちはあなたを歓迎しますわ。新しい仲間として」
「ええ、仲間に入れてくださることはありがとうございます。でも私は魔女やなくて、男なんですけどね」
紅茶を受け取った青年は、軽く頭を下げて礼をする。
「まぁ、よろしいことね」
白のローブの人物は、それを微笑みながら見て席に戻っていった。
その態度こそ優雅ではあるものの、口ぶりから青年の話をまともには聞いていないことがわかる。
上品に笑い、口元を隠す。
「それは、珍しいですね」
灰色のローブの人物は整然と。
真紅のローブの人物は自分の手元の取り分けられたケーキを見つめて、こちらを見ようともしない。
「あの……」
気まずさに耐えきれず再び青年が話をしようと口を開いたその時、黒いローブの人物がおもむろに話しはじめる。
「魔女ではない?……ということは、魔男ということなのか?」
その時、広間の空気が凍った。
最初のコメントを投稿しよう!