あの日に置いてきたモノ

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「あんたは?好きな人とか彼氏とか」 今日は数年ぶりに集まった高校時代の仲の良かったクラスメイトとの飲み会。 「なーんもかわってないよ」 「なに、まだ先輩のことすきなの?」 「そうだよ。まだもなにも諦めるようなきっかけもない」 高校の時のあたしはひとつ上の先輩のことが大好きだった。 出会いは購買で先輩の買ったパンがあたしの頭に降ってきたことがきっかけ。 それからすぐにたくさん話すようになって、恋をするのに時間はかからなかったな。 「あんた先輩の卒業式に結局告白しなかったもんねぇ」 「だって、なにもなかったんだもん」 好きな人がみんな欲しいって思うネクタイも、ブレザーのボタンもなにもかもが先輩の制服にはついてなかった。 先輩は結構目立つ集団の中にいて結構モテた。 だからあたし以外にも告白する人がいるだろうことは分かってたけど、ネクタイのついていない制服をみてあたしは怖気付いた。 「でも彼女いないんでしょ?」 「……みたいだねぇ」 だから、諦められなくて好きな人は数年経っても変わらないのだ。 卒業式以降も大人になった今も先輩はあたしと連絡をとってくれるし、2人でご飯にもいく。 これで全く音沙汰なしになっていたら諦めてるし、他に好きな人ができたかもしれない。 でも、どうしたって無理なのだ。
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