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「な、な、なん……!?」
あたしの注文を遮られて、水に変えられたことにムッとしてバッと顔を上げるとそこにいたのは、元クラスメイトではなく先輩で、あまりにビックリして言葉が出なくなる。
「お、やっと気づいた」
「なっ……記憶喪失になって欲しいです」
「なに物騒なこと言ってんの」
フッと笑ってあたしの頭を撫でる。
「酔っ払いがずーっとグチグチ言ってるから回収しに来て貰った」
友達を睨みつければ、お手上げポーズをしてそう返される。
「さっき言ってたことは本当に記憶喪失になって忘れてください」
「やだね」
あたしのお願いにはべーっと舌を出して拒否をする。
なんて子供みたいな人なんだ。
「だってもう近くにいれなくなるじゃん」
「なんで?」
「気持ち知られたら無理じゃん。せっかく言わないで関係保ってきたのに」
会えなくなるのが怖くて、ズルズルとこのまま先輩に彼女ができるまではって思ってやってきた。
意図しない形で気持ちを伝えてしまったことになって戸惑いを隠せない。
「ハイ」
突然先輩がポケットから何かをだしてあたしの前に置く。
「……え?これ」
目の前に置かれたエンジ色のモノには見覚えがあった。
「えっ、渡した人から返されたんですか?1度人の手に渡ったものはもう先輩のモノじゃないのでいらないですよ?」
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