13人が本棚に入れています
本棚に追加
揺蕩うて
流れ流れて
掌
冷めた爪先
覆いて温む
自分に価値なんてないと思って生きてきた。
一所で長いこと居ると
自分の醜さや、
できの悪さを見抜かれそうだから
怖くて、
バレて愛想を尽かされるその前に逃げて回ってきた。
暖かい場所は、キケンだ。
欲が出て、もっと居たくなってしまうから。
欲が透けて見えて、なにかマズいことをやらかしてしまいそうだから。
ずっとそう考えて
やってきたのに。
その掌はキケンだ。
小さくて、弱くて、冷え切っているくせに
人のために何かをしようとする。
ちょっとの熱さで火傷するクセに。
重い荷物を持つのもやっとなクセに。
薄い紙ですら傷を負うクセに。
目を離すと直ぐ無茶をしようとする。
だから、
俺の手を使え。
まずは一度、暖まれ。
流れ着く
最初のコメントを投稿しよう!