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声かけど
返事はなくて
出てるのは
弁当箱と
洗濯物だけ
返事くらいまともにできないで
世の中でやっていけると思うなよ💢
毎日自分で耳タコになりそうなほど繰り返す、文句。
おかえり、って言われたら
ただいまくらい言えっつーの、まったく!
ご飯作って、掃除して、弁当作って、洗い物して、風呂掃除して、風呂沸かして、洗濯して干して洗濯物畳んで部屋まで持って行ってんのは当たり前じゃないんだっつーの!
自分でやってみろよ、もう!
私は家政婦じゃないんだからね。
給料払えよ、まったく!
文句が頭と心のなかでトルネードを巻き起こす中、
夕飯を作る。
成長期の彼奴は、肉食いたい、とは発語出来るらしい。
生意気な。
もっと必要な言葉教えてきたはずなんだけどな~。
キャベツの千切りたっぷりに、トマトとキュウリを大きめに切って添える。
すりおろした生姜たっぷりに味醂と砂糖と出汁とお醤油をポリ袋に入れて、豚ロースを一枚ずつ剥がして袋に入れる。よーくもみこんで、ニンニクも丸まんま追加。
明日、女の子たちに、ニンニククサ~い、とか言われちまえ。
エノキと揚げと長葱を刻んで味噌汁をつくる。
ワカメとラディッシュの酢の物。
あとはジャガイモあったな。ポテサラ作るか。
大量にしこんで、明日のお弁当も同じおかず。
文句は言わせない。
言うなら自分で作れ!
あ、弁当、ニンニクマシマシにしてやろ。
お風呂からあがったらしい彼奴がはだかの弁当箱と箸を突き出す。
ん。
あいよー、と受け取る
つか、ん、ってなんだ。
ありがとうとかうまかったとかないんかいっ。
洗うために中を開けると、見事なまでにスッカラカン。
米一粒、野菜のカケラひとつ、もっと言うと今日入れたコロッケの衣のカケラひとつ残っていない。
まさか教室で弁当箱舐めてないだろな?
と思いつつ、頬が緩んでしまう。
脱衣所に行くと、今日使っただろう体操着や弁当箱を包んでいたハンカチ、靴下などが、使いましたよーと一目でわかる、まんまのカタチで洗濯カゴに入っていた。
…ま、成長してるか。
次のフェーズはひっくり返ったものは戻せ、かな。
べつに、ベタベタ感謝して欲しいわけじゃない。
これから先、彼奴が生きていけるための術と、
しっかり食べられる健康な身体
まあ、他にもいろいろあるけどさ、
そのために、私は頑張れるんだ。
さ、ご飯にしよっと。
反抗期
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