カルサリのよる

9/21
前へ
/22ページ
次へ
「でもなんであたしがあの人と夜な夜なドミノするの? しかもおそろしいくらい大量にあったんだよ?」 「よっぽど暇だったんじゃない? それかあの人の性癖」 「性癖、ドミノ。あだ名、トントン」 「妙なキャラだな。あ、すみませーん。オーダーお願いします」  セリちゃんが店員に注文するあいだ、あたしは改めてドミノらしき物体を眺めた。性癖ドミノ、あだ名トントン。彼はいったい 何者だろう。つぶやかれたカルサリも、なんのことだかわからないままだ。 「セリちゃん今日はよく食べるね」 「奈央のおごりだし食べておこうと思って」 「え、おごり?」 「そうそう、私の通ってた高校の近くにあったファミレス、こないだ閉店したらしいんだよね」  セリちゃんはあたしのツッコミをさらっとスルーした。 「友達とよく行ってたから、ちょっとさみしいな。奈央、あそこでバイトしてたよね。高二の夏くらいに」 「あー……。うん、そうだね」  あたしがへらっと笑うと、セリちゃんはにやにや含み笑いを浮かべた。 「あのときさ、奈央の面倒よく見てくれる先輩がいて、バイト終わりに送ってくれたとか、デート行ったとか言ってたよね」 「そうだっけ」  あたしは笑顔のまますっとぼける。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加