カルサリのよる

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 *  * *  コンビニの真上なんかに住んだら体重がみるみる右肩上がりになって、財布は見事すっからかんになる。  そう考えていたあたしはそのコンビニに行ったことは一度もなかった。癖になったらこわいし、すぐ近くに24時間営業のスーパーもあるのでずっと避けて暮らしてきた。  なので今夜がはじめましての訪問だ。  テンポよくアパートの階段を降りて、さっそうと店内に入る。オレンジジュースをレジカウンターに置くと、店員は今朝と同じく怪訝な表情を浮かべた。 「半日ぶりだね、飛田林(とんだばやし)くん」  コンビニのロゴや鮮やかなラインの入った制服を着ていても、やっぱり彼の覇気のなさは健在で、店内を流れる有線放送がやけに大きく聞こえた。 「袋は」  バーコードを読み取りながら、ぼそっとつぶやかれる。飛田林くんの視線はジュースに固定されていて、おまえのほうはぜったい見ないぞ、というのがビシビシ伝わってくる。 「袋はなしでいいよ。それより今夜、バイト終わったらうちに来てよ」 「はっ?」
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