さなぎのなかみ

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 しかしその後、とあるぶ厚い小説を読んだんですよ。  その中では、一つの悪意を持った神事の一つとして出てくるんですね。  死んだ少女の魂を無理矢理憑依させられた少年を霊体の幼虫が襲い、内部を食い荒らし、やがては羽化し、羽根を持つ虫が多数、ぼうっとした全体として元の少女の形を取るんです。  その時の贄とされた少年の苦しみ様は、悲痛であると同時に無性に「何かに成り代わられる」時の意識と肉体の二重性を持ち、実に悩ましいんですよ。
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