ウォーターカラー

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 結局「SS」という名前がついていたうちのバンドは解散した。  俺はそのギタリストを許せはしない。  かと言って、自分がそういう立場だったらどうだろう、と思うと、そうそう自分が悪態を吐ける奴ではないことに思い当たる。  うちのヴォーカルとベースを吸収したバンドは、メジャーデビューへの階段を上りつつあるらしい。  まだ高校生であるメンバーが卒業するまでは、それを見合わせている状態だと聞いている。  その話をしてくれた、彼らの事務所の社長は、俺に対して、スタジオ・ミュージシャンとしてとりあえず働く気があるなら、仕事を世話する、という話をしていった。  俺のテクニックには見るものがあるから、ということで。  コンポーザーとしての俺には一言も触れずに。  音楽を仕事にしたくて、始めたバンドだ。  だからそれはそれで悪い話ではない。  少なくとも、そこである程度仕事ができれば、故郷に帰らなくて済む理由もできる。  悪くはないのだ。  ただまだ、上手く消化できていないだけで。
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