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のほほんとした声は、前置きもなく、そんな意味のことを俺に告げた。
モリエが曲を書いていることは俺も知っていた。
ブラスバンドの頃から、時々当時の担当楽器であるアルト・サックスの他に、ピアノをぽろぽろとかき鳴らしていたことを思い出す。
小さな頃からレッスンを受けていたらしい。
ただ、中学に入ってからは真面目にレッスンを受けなくなったのだと言った。
その理由を聞いた時に、奴はこう言った。
「だってつまらないもん」
何がつまらないのか、と重ねて問いかけたら、首を傾げた奴は、こう答えた。
「人の曲なぞるのなんて、それだけだし」
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