ウォーターカラー

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 テトラポッドの上。  雨が降っているというのに、傘もささずに、奴はぼんやりと海を眺めている。  服はもうびしょぬれで、いつもだったらくるくると元気に跳ね回っている薄い茶色の髪は、まっすぐになって水が滴っている。  あれはブリーチでもパーマでもない。  天然だった。  昔はよく同級生にからかわれて、そのたび一つ上の俺がそいつらを追い払っていたものだ。  そんな髪も身体も濡れたままで、延々、海を眺めている。  こんな日の海なんて見たって、何が楽しいんだ?   ただ灰色の空が映ってるだけじゃないか。  それでも奴は、ずっと海を見続けている。
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