ウォーターカラー

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*** 「よしと」  そう言って、モリエはぴょん、とテトラポッドから飛び降りた。  そして何ごともなかった様に、俺の手から傘を取り上げ、すたすたと浜を歩き出す。 「おい」  俺はそんな奴の背中に声を張り上げる。 「おい!」 「俺は『おい』じゃない」  くるりと振り向いた奴は、短くそう言った。 「モリエ、俺に用があるんじゃないのか?」 「ある」  さも当然の様に奴は言った。 「夏になったら、新しい計画がある」 「計画?」  いきなりビジネスの話か、と俺は雨の音でなかなか切り替えの効かない頭を無理矢理引き戻す。 「社長が、俺に前に出ろ出ろってうるさい。だから俺一人じゃやだ、って言ったら、俺の好きなの、連れてこいって言った。だから明日、ミナト俺と一緒に来て」 「は」  それは。 「ちょ、ちょっと待て」 「夏に始めてね、ミナト以外のメンバーが入るかどうかはまだ決まってない。でも結構予定は決まってるみたい。でも俺次第だよね。俺がやだって言えば、それ全部パーだし」 「ま、まだ俺はやるとも何とも」
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