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判ってたさ。
何で俺が延々こいつに付き合っていたのか。
前のヴォーカルを好きだった。
それは確かだ。
ただ気付くまで時間がかかった。
一応俺は自分が普通の感覚を持ってると思っていたから。
だけどあの時、気付いてしまった。
自分にもそういう気持ちがあることを。
だとしたら、モリエをどうしても放っておけないこの気持ちも、きっと。
ぐっしょりと濡れた髪に、指を差し込むと、だらだらと、水がそのすきまから流れる。
時々、上の道路に傘をさした人や、車の鮮やかな赤が通った気がしたが、気にはしない。
雨が、強くなってきていた。
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