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久しぶりの帰省だった。
いや、正確に言えば帰省ではない。
実家に行く予定は無いのだから。
それに、「帰る」という気持ちがあった訳でもない。
俺は、呼び出されたのだ、奴から。
もっとも、いつもだったらそれに応じたのかどうかも判らない。
モリエの住む町は、俺の実家のすぐ隣だ。
小学校区は違ったが、中学校区は同じだった。
何かの拍子で、同じ町だった連中に見つかるかもしれない。
ちょっとばかり、それは避けたい。
なのにそれに応じてしまったのは、今現在、俺自身がなかなかこの春の落ち込みから立ち上がれないせいだと思う。
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