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幼馴染
図書委員の仕事を終えて帰宅すると、時刻はすっかりと夕方になっていた。
「ただいま」
伊調家の玄関を開けて帰宅をしらせると、夕飯の準備をしていただろう母が廊下に顔を覗かせる。
「お帰り、優。今日は遅かったのね」
「うん、委員会の仕事をしてたんだ」
脱衣場の洗面所で手を洗いつつ、今日の夕飯はなんだろうかと考えている僕に母は続ける。
「ナオちゃん、あんたの部屋で待ちくたびれてるわよ。早く行って構ってあげなさい」
「……ナオ、来てるの?」
“ナオ”というのは隣の家に住んでいる同い年の幼馴染だ。生まれた時から一緒で、こうして高2になった今でも当然のように交流は続いている。
「ナオちゃんに夕飯はうちで食べるように言っておいてね」
「分かったよ」
階段をのぼり、2階にある自室の前に立つ。そして小さくため息をついてから、扉を開く。
「……ん? あ、スグお帰り〜。遅かったじゃん。てかこの漫画の続きどこ?」
部屋の中には僕のベッドに寝そべり漫画を読んでいるナオの姿があった。
そう、“ナオ”こと藤浪 素直の姿が……。
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