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お互いの立場
「安藤と木下は友達なんだから仲良くするのは当たり前だろ、何をわけが分からないことを言ってるんだお前は」
嘘。分からないなんて嘘だ。ナオの思考は単純なのでよく分かっている。
「嫌なもんは仕方ねーじゃん! だっておれ、スグのこと大大大大大好きなんだもん! スグと仲良くしていーのはこのおれだけなの!」
そう、やきもちだ。
「……そんなくだらない理由で僕の友達に悪態をついたのか、呆れる」
「くだらない理由?! 全然くだらなくないっ! おれにとったらめちゃくちゃ重要なことなの!」
立ち上がって迫ってくるナオを冷ややかに見つめ、僕は淡々とした口調で言う。
「それならどうするんだ? まさかお前、学校でも僕達は親しく接し合うべきとか言うんじゃないだろうな? 冗談じゃない──」
冷静でいたいのに、段々と語気が荒くなる。遂に僕は叫ぶように言ってしまう。
「お前は陽キャで僕は陰キャ! 陽キャと陰キャは決して混じり合わない水と油の関係なんだよ!! 2次元によくある“オタクに優しいギャル”など実在しないっ!!」
ナオはぽかーんと口を開けた間抜け面で僕を見つめていたが、やや間をあけて困り顔を浮かべる。
「いやでも、実際におれたち仲良しじゃん。スグの言ってることムジュンしてね?」
「それは僕達の関係が特別だからだ。……それに、僕らは天然ではなく養殖の陽キャと陰キャだしな」
言いつつ、中学時代の自分を思い出したが今はその話はおいておこう。
「とにかく、僕が言いたいのは陽キャと陰キャが親しくするのは普通じゃないってことだ。僕は、高校3年間を目立たずひっそりとオタクライフを満喫しながら過ごしたい。だから学校では僕に関わるな!」
きっぱりと言い放つも、ナオは不満そうに唇を尖らせる。
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