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一度しか言わない
「おれはさ、スグのことが昔から好き。好き過ぎて頭おかしくなりそうな位大好き。スグがおれ以外のやつと一緒にいるのを見るとたまらなく嫌な気持ちになる。それだけおれはスグのことが好きなんだ」
ナオは僕の右手を掬い上げ、手の甲へ恭しくキスをする。まるで“王子様”のような所作で、こいつのことを狙っている女子なんかはきっと大興奮することだろう。
「スグはおれのこと好き?」
上目遣いで猫撫で声。こいつは全部分かってやってるからタチが悪い。
「……はなせよ、」
僕は乱暴に右手を払う。するとナオはシュンとしょげた顔をしたのだが、それは直ぐに驚きの表情へと変わる。
ナオの正面へと腰をおろした僕は、両手をナオの両肩へと置く。えっ、という顔をする幼馴染の唇へ自分の唇を押しつける。
ちゅっちゅっと啄むようなバードキスをしながら、徐々に体重をかけてナオを床へと押し倒す。
「……っ、スグ、」
はぁと熱い吐息を漏らすナオにムラつきながら、僕はぶっきらぼうに言う。
「口、開けろよ」
「……え? その、ええと、」
いつもなら喜んで従うくせに今日は目をうろうろとさせ落ち着かない様子だ。
「……口を開けろって言ってんだよ」
「ひっ!」
ナオの弱点である耳に吐息多めで囁くと、面白い位体を震わせる。
「……だ、だめだって、下に、チエちゃん、いるからぁ〜」
チエちゃんとは僕の母のことだ。
「そんなの気にするなよ、バレないって」
「でも、でも……、」
もじもじとしてなかなか流されてくれないナオにイラッとして、更に耳元で喋ってやる。
「お前、僕とキスしたくないの? 舌と舌を絡め合わせて、お互いの唾液でぐちゃぐちゃになるやらしいキス。ナオ、そういうキス好きだよな? お前の口の中の気持ちいい所、僕の舌で全部蹂躙してあげるよ」
「んっ、くっ……み、耳元で、喋るの……だめ、だって〜」
遂には両手で口元を隠し始めるナオ。……成る程、反抗期というやつか。
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