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「どうしてパパはお父さんと結婚したの?」 子どもの頃に見ていた両親は本当に幸せそうで… お互いのことを、心から愛し合ってるように見えた 「パパはΩなんでしょ?αと結婚して幸せになれました。って絵本で描いてたよ?」 お気に入りだった運命の番について書かれた絵本 シンデレラのような内容で、それを現代の第二性(ダイナミクス)を交えた絵本だった 虐げられていたΩの青年が、カッコよくて優しい素敵なαの男性と結ばれるお話 二人で沢山の障害を乗り越えて、運命の番と幸せになる話 産みの親であるパパはどこか恥ずかしそうだったけれど、すっごく幸せそうな笑みを浮かべ 「パパにとって、お父さんはαよりもずっと素敵な人だったからだよ。 大好きな人と一緒になれるのは、運命の番に出会うより素敵なことなんだよ」 って、僕の耳元でこっそり教えてくれた 幼かった僕には、よくわからなかったけど、その時のパパは世界一幸せそうな顔で笑ってた お父さんが僕たちの内緒話を見て、ちょっと拗ねた顔をして… パパがクスクス笑いながら、お父さんにキスをしてた 絵本の二人みたいに、幸せそうなキス お父さんも、パパのこと嬉しそうに抱き締めて、2人が幸せそうに笑ってた パパとお父さんが幸せそうな顔が嬉しかった 二人をジッと見ていると、お父さんが「おいで」って言ってくれて、僕も一緒に抱き締めてくれた 僕のこと、「大好き」って抱き締めてくれるのが嬉しかった いつか、いつの日か… 僕にもパパやお父さんみたいに好きな人が出来るのかな? まだ僕はどれになるのかわからないけど… αになっても、Ωになっても、なんでも良い 僕にも、運命の番じゃなくても…パパとお父さんみたいな大切な人が、いつか出来たらいいなって本当に思っていた 二人は僕にとっての憧れで、大好きな人たちだったから……
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