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りょう君・・・。
「えっ・・・?」
テレビはニュースを報道している。俺が昨日振った女が自殺した、らしい。浮気がバレて、話し合うのが面倒臭くなって、縋り付いて来る女にビンタして、女は『りょう君のこと諦めないもん』と泣きながら地面に蹲って、その子供っぽい言動に俺は苛ついて・・・。
こんこん。こんこん。こんこん。
窓を外からノックする音。
ここ、マンションの四階だぞ?
『りょう君、会いに来たよ』
女の、声。
『りょう君、カーテン開けてよ』
こんこん。こんこん。どんどんっ。
『りょう君、ちゃんと話し合おう?』
どんどんっ。どんっ、どんどんどんっ。
『りょう君、私、りょう君のこと愛してるの』
どんっ。バン! バンバンバンバンバン!
『諦めないから。りょう君のこと、絶対』
バンバンバンバン!! バンバンバンバン!!
『ぁあぎぃらめないぃいがらぁあぁああぁあ!!』
窓が軋んでカーテンを外側から揺らしている。しん、と急に静かになった。カーテンが風にそよぐ。窓が割れて、陽の光がそこから差し込んでいた。
「また明日ね」
耳元で、そう聞こえた。
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